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冬に失う群れを減らせたら、養蜂と自然はどう変わる? 秋冬の餌を調べた研究から

テーマ:ミツバチ/養蜂/栄養/越冬/自然

「来年も、この群れがいてくれるだろうか」

今年、群れが全滅したことを考えると、冬を迎えるこの時期は、一年の中でも特に不安があります。ぼくが気にしているのは、働き蜂の量と、餌の量。越冬に必要なものが足りているか、本当に心配です。

産卵がもう少し進むのか、それともこれで終わるのか。そこもしっかり見ながら、来年に向けて作業をしていきます。

そんな冬の備えに関わる研究が、米国から発表されました。秋冬に与える餌と、春に残った群れの数。その関係を、実際の養蜂場で2冬にわたり調べたものです。

春の生存率は85%と約71%

ワシントン州立大学などの研究チームは、2022年秋から2024年春にかけて、米国の5つの養蜂事業者で比較しました。対象は商業管理されているセイヨウミツバチです。

各事業者の普段の市販飼料と、花粉の栄養を置き換えることを目指す新飼料「PRF-1」を比較。同じ事業者の中では、ダニ対策や糖液の補給などの管理をそろえました。新飼料を開発したAPIX Biosciencesの研究者2名も、共著者に入っています。

3月の評価で生き残った割合は、新飼料の140群で85%、普段の飼料の146群で約71%。差は約14ポイントでした。論文公開は2026年2月26日で、調査はそれ以前の2回の冬に行われています。原著論文

大学の3月12日の紹介では、新飼料の組は3月の成虫量が36%、幼虫やさなぎなどの育児量が40%多かったと整理されています。春に残る群れの数と、群れの中の蜂の量の両方に差が表れた結果です。大学発表

まず変わりうるのは、養蜂家の「やり直し」

ここからは、この結果がほかの地域や飼育条件でも繰り返し確かめられ、現場で使えるようになった場合を考えます。

冬に群れを失う養蜂家にとって、課題は次の春をどう立ち上げるかです。生き残る群れが増えれば、失った群れを補うための購入や、群れを立て直す作業を減らせる可能性があります。春の作業や出荷の予定も、組み立てやすくなるかもしれません。

仮に100群で同じ生存率になれば、春に残るのは85群と約71群。約14群の違いです。これは研究結果を100群に置き換えた例ですが、「毎年、減った分を取り戻す」ために使っていたお金や時間を、今いる群れの世話へ回せる可能性を示します。

実際に取り入れる判断では、餌の購入費、与える手間、安定して手に入るかも大切です。失う群れが減る価値と、追加でかかる費用を並べて、初めて経営上の効果が見えてきます。

蜂を借りる農家にも、意味がある

今回の研究は、アーモンドの受粉期を経た春まで群れを追っています。米国では、養蜂家が管理する群れがアーモンド畑の受粉を担います。大学発表

もし冬を越す群れの状態が安定すれば、受粉用の蜂を必要とする農家にとっても、花が咲く時期に十分な群れを確保しやすくなる可能性があります。

その先には、受粉を安定して支えられる農業があります。収穫への効果を知るには、実際の花への訪問や実のつき方まで追う必要がありますが、今回の研究は、その手前にある「春に働ける群れを残す」という段階を扱っています。

では、ミツバチと自然を増やすことにつながる?

育てているミツバチの群れを残すことは、この研究が直接つながりうる部分です。そこから、地域の自然を豊かにする道筋も考えられます。

たとえば、群れの立て直しにかかる負担が軽くなった養蜂家が、その余力で蜜源になる木や花を増やす。土地を管理する人と協力して、花が少ない時期にも餌場が続くようにする。そうした行動までつながれば、飼料の改善が、自然の餌場を増やすきっかけになりえます。

地域には、野生のハナバチやほかの花を訪れる昆虫もいます。世界41の作物栽培システムを調べた研究では、野生の昆虫の訪花と実のつき方に正の関係があり、ミツバチと野生の昆虫はそれぞれ受粉に貢献していました。Garibaldiらの研究

だから、自然への効果を確かめるときは、巣箱の数に加えて、花の種類や咲く時期、そこに来る野生の昆虫にも目を向けたいところです。花の乏しい時期の群れを餌で支えることと、花のある場所を増やすこと。この二つを組み合わせる道が見えてきます。

餌の先に、何を残せるか

今回の結果から考えられるのは、「冬に失う群れが減る→春の養蜂を立て直す負担が軽くなる→群れや餌場を育てる余力が生まれる」というつながりです。研究で確認された群れの変化を出発点に、経営や自然への広がりを想像した道筋です。

その道筋を本当につなげられるか。今後知りたいのは、地域ごとの効果と費用、そして生まれた余力をどう使えるかです。

春に残る蜂を増やす。その蜂が訪れる花も増やす。「ミツバチと自然を増やす」という目線で見ると、この研究の先に考えることは、巣箱の外まで広がっています。


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