「蜂蜜は腐りにくいのに、菌がいるって本当?」「どんな菌が入っているの?」と気になっていませんか。
蜂蜜は、菌が一つもいない食品ではありません。ボツリヌス菌の芽胞、糖分の多い場所に強い酵母、カビの胞子などが混じる可能性があります。ただし、蜂蜜の中では多くの菌が増えにくいため、菌が見つかることと、すぐ危険になることは同じではありません。
この記事では、蜂蜜にいる可能性がある菌の種類、混じる理由、1歳未満の赤ちゃんへ与えてはいけない理由、保存中の変化まで順番に説明します。
蜂蜜には細菌・酵母・カビの胞子が混じることがある
蜂蜜から見つかる可能性がある小さな生き物は、大きく「細菌」「酵母」「カビ」に分けられます。どの蜂蜜にも同じ種類や量が入っているわけではありません。花、土地、採蜜や瓶詰めの環境、保存状態によって変わります。
| 種類 | 蜂蜜の中での様子 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 細菌 | 土や花、ミツバチなどから混じることがあります | 多くは蜂蜜の中で増えにくい状態です |
| ボツリヌス菌の芽胞 | 熱や乾燥に強い、休んだような形で残ることがあります | 1歳未満の赤ちゃんには特に危険です |
| 酵母 | 糖分の多い場所に強い種類が残ることがあります | 水分が増えると発酵の原因になることがあります |
| カビの胞子 | 空気や花粉、ほこりなどから混じることがあります | 通常の蜂蜜では増えにくいものの、保存状態が悪いと注意が必要です |
研究では、バチルスの仲間、乳酸菌の仲間、酢酸菌の仲間など、さまざまな細菌が蜂蜜から見つかっています。酵母やカビにも多くの種類があります。ただ、難しい菌名をすべて覚える必要はありません。
家庭で特に覚えておきたいのは、1歳未満に関係するボツリヌス菌と、水分が増えたときに発酵を起こす酵母です。
菌は花・土・ほこり・ミツバチ・道具などから入る
蜂蜜は、初めから密閉された工場の中で作られる食品ではありません。ミツバチが野外を飛び、花の蜜を集めて巣へ持ち帰ります。そのため、自然の中にいる小さな生き物が混じることがあります。
- 土やほこり
- 空気や水
- 花の蜜や花粉
- ミツバチの体や巣箱の中
- 採蜜、ろ過、瓶詰めに使う道具
- 開封後に使うぬれたスプーンや、口をつけた器具
つまり、蜂蜜に菌などが混じること自体は不思議ではありません。大切なのは、採蜜や瓶詰めを清潔に行い、開封後も余分な水や食べ物を瓶へ入れないことです。
菌がいても蜂蜜が腐りにくいのは、多くの菌が増えられないから
蜂蜜の中に菌などが混じっても、多くは活発に増えられません。主な理由は次の3つです。
- 糖分がとても多い
菌の体から水分が外へ引っぱられやすくなります。 - 菌が使える水が少ない
蜂蜜に水分があっても、その多くは糖と強く結びついています。菌が自由に使える水が少ないため、増えにくくなります。 - 酸性である
多くの菌にとって、蜂蜜の酸性の環境は増えやすい場所ではありません。
ここで大事なのは、増えにくいことと、まったくいないことは別だという点です。瓶の中で増えられなくても、休んだような状態で残るものがあります。
蜂蜜が腐りにくい仕組みをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事へ進んでください。
ボツリヌス菌の芽胞は、かたい殻で休むような状態
ボツリヌス菌は、土やほこりなど自然の中にいる細菌です。育ちにくい環境になると「芽胞」という、熱や乾燥に強い形になることがあります。
芽胞は、菌がかたい殻に入って休んでいるような状態だと考えると分かりやすいでしょう。蜂蜜の中では増えなくても、芽胞のまま残ることがあります。
市販品か養蜂家から買った蜂蜜か、国産か外国産か、生蜂蜜かどうかだけで「芽胞が絶対にない」と見分けることはできません。
1歳未満の赤ちゃんには、加熱した蜂蜜も与えない
1歳未満の赤ちゃんは、まだ腸の中の環境が十分に整っていません。ボツリヌス菌の芽胞を口にすると、腸の中で菌が増え、毒素を作って「乳児ボツリヌス症」を起こすおそれがあります。
厚生労働省は、1歳未満には蜂蜜だけでなく、蜂蜜入りの飲み物やお菓子も与えないよう案内しています。パン、焼き菓子、飲料などに入っていても同じです。
煮る、焼く、お湯に溶かすといった家庭での加熱では、安全な食品に変えられません。ボツリヌス菌の芽胞は熱に強く、通常の加熱や調理では死なないためです。
大人や1歳以上の子どもはどうなの?
厚生労働省は、1歳以上の方にとって蜂蜜はリスクの高い食品ではないと説明しています。腸の中の環境が整ってくるため、赤ちゃんと同じようにボツリヌス菌が増える危険は通常高くありません。
ただし、年齢に関係なく、見た目やにおいに明らかな異常がある蜂蜜を無理に食べる必要はありません。また、医師から食事について指示を受けている方は、その指示を優先してください。
水分が増えると、酵母が働いて発酵することがある
蜂蜜の中には、糖分の多い場所に強い酵母が残ることがあります。酵母は、パンやお酒作りにも使われる小さな生き物の仲間です。
きちんと熟した蜂蜜では、菌が使える水が少ないため、酵母も増えにくい状態です。しかし、水分が多い蜂蜜や、保存中に水が入った蜂蜜では、酵母が糖を使って発酵することがあります。
発酵が進むと、泡が増える、容器の中にガスがたまる、酸っぱいにおいや酒のようなにおいがする、といった変化が現れる場合があります。判断に迷うときは、味見で確かめようとせず、食べない方が安全です。
白く固まっただけなら、菌ではなく結晶化の場合が多い
「白いものが見えるからカビかも」と心配になることがあります。しかし、蜂蜜全体が白っぽくなったり、ざらざらに固まったりした場合は、ブドウ糖が結晶になった可能性があります。
結晶化は、蜂蜜に含まれる糖が固まる自然な変化で、菌が増えたという意味ではありません。
一方で、表面に綿毛のようなものが広がる、強い異臭がする、泡やガスが増え続ける場合は、結晶化とは別の変化を疑います。保存中の変化と戻し方はこちらで詳しく説明しています。
蜂蜜へ水や食べ物を入れないことが、開封後の基本
蜂蜜を長く良い状態で保つには、蜂蜜がもともと持っている「水が少ない状態」を崩さないことが大切です。
- 乾いた清潔なスプーンを使う
- 口をつけたスプーンを瓶へ戻さない
- パンくずや果汁を瓶へ入れない
- 使ったら蓋をきちんと閉める
- 商品の保存表示がある場合は、その指示に従う
蜂蜜レモンや蜂蜜入りの飲み物は、水や果汁が混ざっています。蜂蜜だけの瓶と同じようには保存できません。蜂蜜を入れたから、ほかの食品まで腐りにくくなるわけではない点にも注意しましょう。
蜂蜜に菌がいることと、蜂蜜の抗菌性は両立する
蜂蜜は、糖分の多さ、水の少なさ、酸性などにより、多くの菌が増えにくい食品です。そのため「抗菌性がある」と説明されることがあります。
それでも、すべての菌や芽胞を消して無菌にするわけではありません。「蜂蜜に菌などが残る可能性がある」と「蜂蜜の中では多くの菌が増えにくい」は、どちらも成り立ちます。
また、食用の蜂蜜を傷口へ塗ったり、蜂蜜を料理へ加えて殺菌しようとしたりするのは避けましょう。食品としての蜂蜜と、医療用に管理された蜂蜜は同じではありません。
まとめ|蜂蜜は無菌ではないが、多くの菌は増えにくい
蜂蜜には、細菌、酵母、カビの胞子などが混じる可能性があります。これらは土、花、空気、ミツバチ、採蜜道具など、自然や作業環境から入ります。
ただし、蜂蜜は糖分が多く、菌が使える水が少なく、酸性です。そのため多くの菌は増えにくく、蜂蜜が腐りにくいことと矛盾しません。
家庭で最も大切なのは、1歳未満の赤ちゃんへ加熱の有無にかかわらず蜂蜜入り食品を与えないこと。そして開封後の瓶へ水や食べ物を入れないことです。
参考にした情報
- 厚生労働省「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」
- 厚生労働省「はちみつの瓶詰め等の製造におけるHACCP導入の手引書」
- Luca L, Pauliuc D, Oroian M. Honey microbiota, methods for determining the microbiological composition and the antimicrobial effect of honey – A review.
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